2020年 新年のご挨拶

令和2年1月7日
2020年の新たな年を迎え、あけましておめでとうございます。
 
昨2019年も過ぎ去ってしまえば、あっという間に駆け抜けていったような気がしますが、この機会にトンガ国内外と日本・トンガ関係の2点について簡潔に振り返るとともに、今後のことについても触れてみたいと思います。
 
(トンガ国内外の動き)
トンガにおいては、2019年、特に後半に大きな動きが見られました。例年のとおり、5月は国会開幕、6月は予算案採択と続いた後で、7月に国王陛下の60才を祝う生誕祭が行われました。その後、9月にポヒヴァ首相が逝去され、10月にトゥイオネトア首相を首班とする内閣が発足しました。また、9月には国王陛下は国連で演説を行い、気候変動に改めて重点を置きました。更に、違法薬物の取り締まりは引き続き重大な課題となっています。新政権にとっての最大の課題は2年後に迫った総選挙に向け、いかに国民に対して目に見える成果を示すことができるかということになると思います。
 
(日本・トンガ関係)
両国の関係は一段と進展が見られました。2019年3月に髙田太平洋島嶼国地域担当大使が来訪しポヒヴァ首相(当時)他と会見しました。また、同月に全国早期警報システム(NEWS)の起工式、7月に風力発電プロジェクトの竣工式がそれぞれ行われました。前者のNEWSについては本年8月頃竣工の予定です。また、後者の風力発電については、国王より「マヌマタオンゴ(国王の初孫)の扇」と命名され、竣工式には国王・王妃が臨席されました。
その後、2019年9月から日本で始まったラグビーワールドカップでは日本やトンガのチームが健闘する中で、日本チーム内でのトンガ人選手の活躍も見逃せません。そして、10月には日本で天皇・皇后両陛下の即位礼正殿の儀が行われ、当地から国王・王妃両陛下が参加されました。そして、12月には中山外務大臣政務官が来訪しトゥイオネトア首相やラヴェマアウ財務相等と会見するとともに、関係の邦人の方々には意見交換の機会にご協力を頂きありがとうございました。
2020年の当面の日程としては、2月下旬に新元号令和初の天皇誕生日レセプションを当地で行う予定です。また、3月には例年のそろばん全国大会の開催とともに、ファアモツ国際空港関係の調査団が来訪する予定となっています。
 
(良好で持続的な関係へ)
昨年の年頭挨拶でも触れさせて頂いたとおり、 両国の関係は全般的に長年にわたり良好に推移していますが、私はその背景として改めて次の3つの要素に注目したいと思っています。
(1)心情的、伝統的な親しみ 皇室と王室の密接な関係、海に囲まれた島国、言葉の発音等を始め、お互いに似ていることの受け容れ易さを無意識にも感じ合っていると思います。
(2)経済的、政治的な結びつき 我が国の経済協力に対する評価、即ち、丈夫で質が高く安全との点は、トンガ社会の各層に幅広く共有されています。一方で、トンガは国際社会の場で日本の立場や候補者をいろいろな形で支持、支援しています。
(3)文化的、国民的な交わり ラグビー、ソロバン、日本語、相撲等、広い範囲にわたり、各種の草の根レベルでの交流が綿々と続けられています。
 
そして、私は、今後の両国関係を更に進めていくに当たって重要と考えることは、両国の関係は一方通行の関係ではなく、相互に相手の協力や支援を必要とし合う双方向の関係にあることをお互いが改めてよく理解し合うことだと思います。そして、この互恵的な関係こそが両国の関係を末永く持続的なものにしていくカギであると確信します。
 
(結び)
本2020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催とともに、日本・トンガの外交関係樹立50周年の記念すべき年です。この機会を大事にして、第二・半世紀において両国の良好な関係を一層増進させていきたいと思っています。皆さんのご協力、ご支援をよろしくお願いします。
最後に、皆様の本年のご健勝、ご活躍、日本とトンガの一層の関係増進を祈念して私の年頭のご挨拶とさせて頂きます。なお、近年、当地では車がめっきり増えています。お子様を含め、本年も交通事故にはくれぐれもご注意下さい。
 


石井哲也(在トンガ王国日本国大使)