ご挨拶(信任状捧呈式を終えて)

令和3年5月13日
信任状捧呈式を終えてトゥポウ6世国王陛下と (Photo Credit: TAKAPU, Royal Photographer, Palace Office)
 令和3年5月12日、王宮にてトンガ王国国王トゥポウ6世陛下への信任状捧呈を行いました。

 新型コロナウイルスの影響下で多くの王室行事が中止となる中、無事に捧呈式を終えることができ安堵しています。

 式典では天皇陛下から国王陛下へのお言葉をお伝えし、国王陛下からも天皇陛下そして日本国国民への温かいお言葉を頂戴いたしました。わが国皇室にとってトンガ王室はこの南太平洋地域における唯一のカウンターパートであり、皇族、王族の相互訪問等を通じてこれまで培われてきた深いつながりは、新型コロナウイルスの影響下でも微塵も損なわれていないことを実感した次第です。

 現在、トンガは世界でも数少ない新型コロナウイルス感染者ゼロ・コロナフリーの国の一つです。そのことは高く称賛されるべきことですが、そのためにこれまで、そして現在もなお求められている厳しい入国制限による経済・社会への影響は深刻です。トンガの明るい国民性、そして分かち合いの精神に裏打ちされた相互扶助の存在によって現地では深刻さはさほど実感されませんが、マクロ経済指標や個別事業の進捗状況等は、増大する将来不安を如実に物語っています。

 わが国との関係では、昨年夏に完成する予定であった平成30年度一般無償資金協力「全国早期警報システム導入及び防災通信能力強化計画(NEWSプロジェクト)」が、必要な技術者が入国できないため未だに完成に至っておりません。本事業で予定されていた災害への対応力強化が実現できないのみならず、今後のわが国からトンガへの支援計画にも大きな影を落としているところです。

 新型コロナウイルスに関しては、国によってはこれまで以上に状況が悪化しているところもあり、未だ収束に向かっているとは言えないものの、他方でワクチン接種の普及によって大きな政策転換を図っている国の事例や、あるいは特定の国との間での往来自由化(トラベルバブル)を実現した国の事例も散見されております。トンガでもCOVAXから支給されたワクチンの接種が進みつつあり、その動向等を踏まえ入国制限の見直しが検討されることを期待しています。

 こうした厳しい制約条件の下ではありますが、コロナ下でもできること、コロナ後を見据えて今やるべきことについて、引き続き大使館としても真剣に考えて参りたいと思っています。