令和4年 新年のご挨拶

令和4年1月1日
   
<新首相に選ばれたフアカヴァメイリク氏と首班指名直後の国会議場にて>


明けましておめでとうございます。令和4年の新年に当たり一言ご挨拶申し上げます。

令和2年の年初から始まりました新型コロナウイルスの流行により、我々の生活は大きく変わってしまいました。私は日本で緊急事態宣言そしてコロナ下での制約された生活を経験した後、令和2年11月、大使としてトンガにやって参りました。現在同様、入国は困難を極め、特にタノアホテルでの隔離は我々夫婦にとっては大変厳しいものでしたが、その隔離が明けたあとは、マスクもいらない、生活上の制限は実質ないといってもいいコロナフリーの、日本を含め他の国では失われたコロナ前の世界がトンガには存在していました。

昨年10月27日のNZクライストチャーチからの帰還便でコロナ陽性者が出た際には、ついに来るべき時が来たかと覚悟を決めましたが、結局それは陽性反応は出るものの感染力のない事例であり、1週間のロックダウンの後、また元のコロナフリーの暮らしに戻ったことは皆様ご承知の通りです。トンガは世界でも稀なコロナフリーの国のまま、2年が過ぎようとしております。

日本でコロナ下の陰鬱な暮らしを経験した者としては、マスクもなく何の制約もないトンガでの暮らしは、まさに南国の楽園のようではありますが、その楽園は多くの犠牲と引き換えのものであることは皆様には説明の要もないかと存じます。

私が入国した一昨年11月の時点では、翌年の東京オリンピックの実施やその前の7月に行われる三重県でのPALM9(第9回太平洋・島サミット)の実施が見込まれており、その前提として国際的移動も2年目からは多少は緩和するかと予想されていたところ、実際には変異株の発生等でより厳しくなってしまいました。令和3年、トンガは実質上鎖国状態であったと言っても過言ではないと思います。

そうした中、我が国はコロナ対策関連物資やワクチンのトンガへの供与を推進し、特にワクチンに関しては豪、NZと並んでトンガのワクチン接種目標(全人口の70%)の達成に大きく貢献して参りました。また、移動規制の下で大型の援助案件が進捗しない中、地域の人々の生活や緊急時の活動を支えるきめ細かな支援を継続してきているところです。

令和4年、コロナをめぐる状況に関し今後の予想は難しく、トンガの国境規制に関してはトンガ政府の判断次第ですが、世界はWith Coronaに向かって動き始めております。トンガ政府も、ワクチン接種目標の達成を前提に、その詳細は未定ながら国境規制の見直しを行うことについてはコミットしており、非常事態宣言から2年となる本年3月までには相応の規制緩和が期待されるところです。国境が開かれ、商業航空旅客便が再開されれば、わが日本との往来も再開し、JICAボランティアや各種事業関係者等がトンガに戻ってくる日も遠くないものと期待しています。

このことに限らず、新たな年、令和4年が皆様方にとり、また日本・トンガの両国にとりまして、明るい年となることを心より祈念し、私の年初のご挨拶とさせて頂きます。